ペット可賃貸物件で空室対策!メリット・デメリットを解説
賃貸オーナー様の中でも、空室対策の一つとして「ペット可物件」を検討された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コロナ以降、ペットの需要は増え続けていますが、ペット可の賃貸物件は多くはありません。
そこで今回は、空室対策としてペット可物件とする際のメリット・デメリット、注意点を解説していきます。
ペットを飼っている人の賃貸ニーズや困っていることを解決し、空室解消・家賃アップを目指しましょう。
ペット可物件の需要
では、実際にペット可物件はどれほどの需要があるのでしょうか。
一般社団法人ペットフード協会の「令和5年全国犬猫飼育実態調査」によると、犬・猫の推計飼育頭数は、犬が約684万4千頭、猫が約906万9千頭で合計約1,591万頭の犬・猫がペットとして飼育されています。
日本の総世帯数から見た飼育世帯率は、犬が9.1%、猫が8.69%という結果となりました。
そして、ペット可賃貸物件の割合はどの程度かというと、LIFULL HOME’Sに掲載されていた一都三県の「ペット相談可物件」割合の月別推移は、2020年1月は全体の14%だったのに対し、2022年12月は18.4%と、3年間で約4.3%増加しています。
しかし、それでもまだまだ少ないのが現状で、前述の一般社団法人ペットフード協会の「令和5年全国犬猫飼育実態調査」によると、「現在飼育していない最大の理由」で最も多いのは「集合住宅(アパート・マンションなど一戸建てでないもの)に住んでいて、禁止されているから」で犬21.5%、猫26.6%でした。
賃貸物件でも飼うことができるのであれば飼いたいという世帯は多く、時代に合わせてペット可の賃貸物件も増えてきてはいますが、まだまだペット可物件の需要は見込めるということがわかります。
ペット可物件にした場合のメリット・デメリット
ただ、需要があるからといって単にペット可物件にするのでは、後々トラブルが発生することもあり得ます。
しっかりとメリット・デメリットを理解した上で動き出しましょう。
メリット
まずは、ペット可物件とした際のメリットから紹介します。
前述したように、ペット可物件は需要の割に供給が少なく、大きな空室対策の一手となるのは間違いありません。
トラブルが発生しないよう、事前に適切に対応することで、人気の物件となり家賃も上げやすいでしょう。
ペット可物件の入居希望者はペットと暮らすことが最優先事項のため、駅からの距離や築年数などの多少のデメリットは目を瞑ってくれることが多いです。
空室が目立つようになり、ライバル物件との差別化にお悩みのオーナー様にとって、ペット可物件にするのは大きな空室対策になるでしょう。
さらに、競合物件が少ないため、長く住んでくれる傾向にあり、近隣相場よりも多少家賃が高くても入居が決まる可能性も多いにあり得ます。
デメリット
もちろん、メリットだけではなくデメリットもしっかりと理解することが重要です。
原状回復費用が嵩む
退去時の原状回復費用は、ペットの臭いや壁・床の傷などにより、ペットを飼っていない物件に比べると1.5~2倍かかると言われています。
しかし、ペットの飼育による部屋の傷や汚れは「入居者の故意・過失」として扱われるため、入居者に請求することができます。
契約時に敷金を一ヶ月分多めにもらうなどして、対応しましょう。
住民トラブル
そして、住民トラブルも避けては通れません。
新築時からペット可の物件であればいいですが、途中からペット可にした場合、元から住んでいた人にアレルギーを持つ入居者などがいる可能性もあります。
ペットの臭いや鳴き声などの騒音、飼育マナーについて、あらかじめ起きうる問題を想定し、他の部屋に通知をするなどをして慎重に検討を進めましょう。
トラブルが起きないために
ペット可物件とした際に、トラブルが起きないようにするにはどのようなことに注意しておくべきなのでしょうか。
費用の決め事は契約時に
一番大きなトラブルとなりがちなのは、やはりお金の問題です。
実際にトラブルが起きた際に揉め事が大きくならないよう、契約時に決めておきましょう。
具体的には退去時の修繕費がほとんどです。
壁や床の傷などの補修費や清掃費などの退去時に支払う金額を契約時にあらかじめ決めておくことで、退去時のトラブルも抑えられるでしょう。
敷金として、契約時に二ヶ月分もらう場合は、飼う頭数や種類に応じて家賃に上乗せして請求する場合もあります。
ご自身の物件や入居者の属性などによって決めていきましょう。
あらかじめ飼っていい種類・頭数を決めておく
犬や猫の場合、飼っていい頭数や種類・サイズを決めておかないと、多頭飼育崩壊や室内の損傷に繋がります。
あらかじめ制限をかけておくことで、トラブルは避けられるでしょう。
さらに、犬や猫以外の珍しい動物などの場合、どこまでがペットによる損傷なのかが判断つけられず、入居者に請求できない場合なども考えられます。
ある程度、条件を決めた上で募集を行うのが良いでしょう。
飼育マナー・ルールを決める
入居者同士でのトラブルを避けるためにも、飼育マナーの周知やマンション内でのルールを定めておくことも重要です。
例えば、「専有部以外の場所では必ずリードをつける、または抱き抱えたりケージに入れて移動する」や「空気清浄機などで毛や臭いの対策をする」など、入居者全員が住みやすい環境を整えられるよう、事前にルールを定めておきましょう。
近隣トラブルによる退去などが起きないよう、ペットを飼う入居者に対して注意喚起を行うことも重要であり、そのルールがしっかりと守られているかどうか確認するのもオーナーの役割となるでしょう。
気をつけるポイント・注意点
ペット可賃貸として、部屋を貸し出す際には、契約時に費用の決め事をしておく・トラブルの際の対応方法を事前に検討しておくことが重要となります。
賃貸借契約時に、ペットに関しての条件を追加した上で、
- 初期費用の増額(敷金を二倍)
- 家賃の増額・退去時の原状回復
- 飼育数や種類の制限
- ペットの写真証明書を提出
など、オーナーとして近隣の方に迷惑がかからないよう気をつけていきましょう。
また、ルールを定めたにも関わらずマナーを守れない入居者に関しては、厳しい対応をする必要もあります。
ペット可物件で空室対策
数少ないペット可物件の中でも、より入居者に選んでもらうためにもペットのことを考えた内装にするというのも一つの手です。
傷や汚れに強くクッション性のある床材であれば、ペットの足に優しく足音もある程度抑えられます。
壁紙も消臭効果のあるものなど、ペットのいる物件に向けたシリーズがあるメーカーもあります。
ペット可物件を検討している際には、ペット向けリフォームも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
安定した家賃収入を得ていくためにも、ペットを飼う入居者をターゲットにした物件に変更するのも有効な方法です。
トラブルが発生しないよう、事前にしっかりと対策をした上でペットを受け入れた物件づくりをしていきましょう。